実務で使う暗算・概算
KPIレビューで使う暗算
著者:ForwardWith
KPIレビューでは、ダッシュボードの数字を読み上げるだけでなく、指標同士のつながりと桁感を確認する必要があります。セッション数×CVR×客単価、増加額÷前年値、費用÷成果数の3つを暗算できると、異常値や改善余地に気づきやすくなります。
先に結論
売上を「対象数×率×単価」に分解し、前年差を前年値で割り、費用を成果数で割ります。表示値を鵜呑みにせず、別の指標から再計算して桁が合うか確かめます。
その場で答える4ステップ
- 確認したいKPIを、対象数・率・単価など元になる指標へ分解する。
- 同じ期間、同じ対象、同じ税区分になっているか確認する。
- 数値を丸めて期待値を出し、ダッシュボードの表示値と比較する。
- 差が大きい場合は、定義変更、計測漏れ、構成比の変化を確認する。
場面別の計算例と伝え方
流入から売上を概算する
問い:月12万セッション、CVR2.5%、客単価8,000円なら売上はいくらか。
12万 × 2.5% = 3,000件、3,000件 × 8,000円 = 2,400万円
伝え方:「この3指標から見ると売上は月約2,400万円です。表示値と大きく違う場合は定義を確認します」
ユーザー数とセッション数、注文数と購入者数を混同すると結果が変わります。
前年比を概算する
問い:前年1.8億円から今年2.1億円へ増えた場合、成長率はいくらか。
増加0.3億円 ÷ 前年1.8億円 ≒ 16.7%増
伝え方:「前年比では約17%増です。金額では3,000万円増えています」
「今年÷前年」ではなく「増加額÷前年」で成長率を出します。
CPAを確認する
問い:広告費600万円で1,200件獲得した場合、1件あたり費用はいくらか。
600万円 ÷ 1,200件 = 0.5万円 = 5,000円/件
伝え方:「CPAは5,000円です。粗利がこれを十分に上回るかを次に確認します」
獲得の定義が申込、購入、商談のどれかによって評価基準は変わります。
数字だけで終わらせない言い方
- 「流入×CVR×客単価で逆算すると、売上は約2,400万円になるはずです」
- 「前年比は約17%増、金額では3,000万円増です」
- 「CPAは5,000円ですが、獲得の定義と粗利を合わせて評価する必要があります」
よくある失敗
- 前年ではなく今年の数値で増加額を割る
- 月次と累計を比較する
- セッション数とユーザー数を同じものとして扱う
- KPIの定義変更を確認せず時系列比較する
概算で済ませない場面
- 経営報告や対外開示へ数値を載せるとき
- 広告費の請求・精算をするとき
- 成果報酬や評価を確定するとき
- 僅差で施策の継続基準を判定するとき
最後の10秒チェック
- 前提と単位を声に出したか
- 千・万・億・兆を1回検算したか
- 概算値を「約」「およそ」「前提上」と明示したか
- 数字が意思決定に何を意味するかまで伝えたか