実務で使う暗算・概算
営業・商談で使う概算と暗算
著者:ForwardWith
商談中の暗算は、顧客の予算や導入効果を確定するためではなく、検討に値する規模かを一緒に確認するために使います。数字を即答して終わるのではなく、前提と幅を示し、正式な見積もりへつなぐことが大切です。
先に結論
単価×数量、削減時間×人件費、対象数×利用率の3つを使えるようにします。概算は「仮に」「単純計算では」と明示し、契約金額や効果保証と受け取られない伝え方をします。
その場で答える4ステップ
- 顧客が知りたいのが費用、効果、回収期間のどれかを確認する。
- 利用人数、利用頻度、人件費などを顧客と合意できる前提に置き換える。
- 単価と数量の単位をそろえ、まず年額または月額の規模を出す。
- 概算の範囲と、正式見積もりで確認する条件を伝える。
場面別の計算例と伝え方
削減時間を金額へ置き換える
問い:200人が月3時間ずつ削減でき、時間単価を3,000円とすると効果はいくらか。
200人 × 3時間 × 3,000円 = 月180万円、年間2,160万円
伝え方:「全員が月3時間削減できる前提では、年間約2,000万円の余力に相当します」
削減時間がそのまま現金削減になるとは限りません。「余力」「相当」と表現し、生産性効果と費用削減を分けます。
予算から導入可能数を逆算する
問い:年間予算800万円で、1ライセンス年4万円なら何人へ導入できるか。
800万円 ÷ 4万円 = 200ライセンス
伝え方:「ライセンス費だけなら約200人分です。初期費用を含める場合はその分だけ少なくなります」
同じ万円単位にそろえると、ゼロを数えずに計算できます。
見込み売上をその場で確認する
問い:5,000件へ提案し、成約率8%、平均単価25万円なら売上はいくらか。
5,000件 × 8% = 400件、400件 × 25万円 = 1億円
伝え方:「成約率8%を維持できれば、売上は約1億円です。成約率が半分なら約5,000万円です」
単一の数字ではなく、重要な前提が変わった場合の幅も示すと意思決定に使いやすくなります。
数字だけで終わらせない言い方
- 「仮に対象200人、月3時間削減で置くと、年間約2,000万円相当です」
- 「これは生産性効果の概算で、実際の費用削減額を保証するものではありません」
- 「正式なお見積もりでは、初期費用と利用人数の段階価格を反映します」
よくある失敗
- 削減時間をそのまま利益と表現する
- 税、初期費用、値引きを黙って除外する
- 顧客の前提を確認せず自社都合で置く
- 概算値を正式見積もりのように約束する
概算で済ませない場面
- 見積書・申込書・契約書へ記載するとき
- 値引き承認や粗利判定をするとき
- 顧客の予算上限に合わせるとき
- 導入効果を対外的に保証するとき
最後の10秒チェック
- 前提と単位を声に出したか
- 千・万・億・兆を1回検算したか
- 概算値を「約」「およそ」「前提上」と明示したか
- 数字が意思決定に何を意味するかまで伝えたか